Picam360-SurfaceWalkerは自宅から遠く離れた場所から超遠隔操作ができる無人航行艇です。船底のパノラマカメラから送られるリアルタイムの映像をスマホの画面で自由に視点を変えながら、簡単に操作することができます。これにより泳ぐことが苦手な人や、人が行きにくい場所でも手軽にリモートシュノーケリングが楽しめます。
SurfaceWalkerのアクセスポイントモードにより、直接スマホと接続することができます。 さらに、屋外でインターネットに接続するための3G USBドングルを一緒に使用すれば、ネット環境がある所ならどこからでもSurfaceWalkerの操作が可能です。例えば自宅にいながら、遠く離れた場所の美しい水中を楽しむことができます。
船体の操作はスマホ、タブレットまたはPCで映像を見ながら操作することができます。さらに付属のプロポでも操作が可能です(プロポの場合はプロポの電波が届く範囲で操作できます。電波到達距離は約500mです)。
船底に搭載したパノラマカメラにより360度のリアルタイム映像で、好きな方向を見ることができます。 独自の画像圧縮技術により300Kbpsの帯域でストリーニングが可能です。
スマートフォン、タブレットのほかパソコンにも対応しています。360度映像なのでネットワークに遅延が発生しても見たい方向を見ることができます。また、水上では船体が揺れ不安定な映像になりがちですが、カメラに搭載した姿勢センサーにより見ている方向がずれないよう補正します。これは通常のカメラではできない、パノラマカメラだからできる特徴です。
100Wのソーラーパネルを搭載しているので、天気が良い日中であれば発電した電力だけで稼働することができます。天気が悪くなったらどうなるのでしょうか?無事に船が帰ってこれるかどうか不安ですよね。SufaceWalkerはバッテリーも追加することができます。天候が悪くなっても連続して稼働することができるので、安心して運用することができます。
GPS(全地球測位システム)を利用し、指定したルートを無人で航行する自動航行機能を搭載しています。 カメラや測定機器を載せれば、水面や、水中の観測データを自動で収集することができます。 自動航行機能は現時点では座標を直接入力するシンプルな操作画面となっていますが、マップ上から位置を指定し、航行の状態を表示することで、より直感的に操作ができるUIを開発する予定です。
自動航行で撮影した水中画像や計測機で計測したデータをサーバー上に自動でアップロードし、収集したデータをマップ上に表示する機能、「OpenCoralMap」と「OpenCyanoMap」を開発します。これら機能は環境問題の解決に取り組むことを目的としています。これら機能の開発がこのプロジェクトの最終目標です。詳しくは「プロジェクトの最終目標」の項をご覧ください。
近年のハードウェア環境として、スマートフォンなどの大型ディスプレイ搭載の携帯端末の普及や通信回線のコストの低下、Raspberry Piのような安価で必要十分な性能を持ったボードコンピュータが登場し、個人でも開発可能なハードウェアの幅が大きく広がりました。また、イメージセンサとディスプレイの解像度の相対的変化により、今までのアプリケーションではオーバースペックとなったイメージセンサの解像度を有効活用する動きも注目すべきです。代表例としては、撮影後でもピントを自由に選択できるライト・フィールド・カメラだったり、180度を超える画角を持った半天球パノラマカメラがあり、その流れの中で、2つの半天球パノラマカメラによる全天球パノラマカメラが普及する兆しを見せています。そういった環境変化の中で、「スマホ」x「ネットワーク」x「Raspberry Pi」x「パノラマカメラ」をターゲットとしたオープンソースなシステムがあれば、世界中のMakersの知恵から新しい価値が生まれるのではという期待を込めて「オープンソースのパノラマカメラPicam360」の開発をスタートしました。 「ネットワーク」x「カメラ」の組み合わせであるネットワークカメラは従来からありますが、制限された画角で死角を補うためには、回転機構が必要でした。その場合、データ転送の遅延の制約のもと、ユーザー視点と映像のずれが生じていました。パノラマカメラを用いることでこのずれを改善することができ、回転機構も必要ないためシンプルなシステムになります。しかし、ここで新たな問題として、2K@360°のパノラマ画像では一般的なユーザが見る画像の解像度としては0.5K@90°程度となり解像度に対するビットレートは従来よりも大幅に高くなります。従来ではサイコロの1面だけで済んだものが6面全てが必要となりビットレートが6倍に膨れたと考えればイメージしやすいと思います。YoutubeやFacebookが取り組んでいる、パノラマ映像のブロードキャスティング(1対Nの片方向通信)では、この点が制約となり、高解像度のパノラマ映像をリアルタイムにアップロード・ダウンロードするためには「PC」x「サーバー」のようなハイパフォーマンスな環境が必要となります。一方、「スマホ」x「Raspberry Pi」の組み合わせでは、多くの場合、ピアツーピア(1対1の双方向通信)で接続するので、ユーザが見ているサイコロ1面だけの画像転送で済みます。また、「PC」x「サーバー」と比べると、スマホの相対的解像度とRaspberry Piの相対的GPU性能が相殺され、対コスト比で妥当な性能が見込めます。そこで、Picam360では、SSPR(サーバーサイドパノラマレンダリング)という技術を実装し、「スマホ」x「ネットワーク」x「Raspberry Pi」x「パノラマカメラ」の組み合わせに加え、「リアルタイム」x「ピアツーピア」をターゲットとしたシステムでパフォーマンスを発揮するように開発しました。
「船の底にパノラマカメラをつければ、リモートシュノーケリングができる」というアイデアを実現するべくオープンソースハードウェアプロジェクトをスタートしました。これができれば、泳ぐことが苦手な人や、人が行きにくい場所でも手軽にシュノーケリングが楽しめます。まず、手軽さを重視し100Wのソーラーパネルを採用しました。これで遠隔操作装置での給電問題がクリアでき太陽がある限り無限に楽しむことができます。次に船体の製造ですが、これが大きな課題でした。安価に誰でも再設計ができることがオープンソースハードウェアとしては重要であるからです。3Dプリンタを使えば誰でも再設計が可能です。しかし、3Dプリンタで大きな物を出力することは時間もコストも大きくなります。そこで、3Dプリンタによるモールドの出力であれば、それそのものの出力は大変ですが、複製することは時間もコストも小さくなると考えました。そこで早速、OpenSCADでベジエ曲面を実装し、9点の制御ポイントのみでデジタルな船体を誰でも設計できる仕組みを構築しました。それを元に、デジタルなモールドを作り、家庭用の3Dプリンタで分割して出力し、組み上げることで3Dプリンタ製の船体モールドを実現しました。1つのピースの出力で半日かかり全部で90ピースあるので、なかなか大変な作業でしたが、皆さんの想像通り楽しい時間でした。このモールドに表面処理をし、発泡ウレタンを流すことで誰でも設計できる船体が生まれます。その後は順調に、100Wに適したスクリュー&モーターとサーボモータ&ラダーを選定し、必要部品はOpenSCADで設計し出力し取り付けました。完成した船と期待と不安を一緒に、湖で海でテストし、リモートシュノーケリングができることを確認できました。もちろん色々とトラブルはありましたが、それもまた楽しい時間でした。この設計が新しい価値に繋がることを期待しています。
SurfaceWalkerの開発協力をいただいた大学の研究室から、安価な無人船を使って湖上の水質調査に使用するプロジェクトが立ち上がりました。湖の水質が悪化するとシアノバクテリアが大量発生する環境問題が知られていますが、シアノバクテリアの中には毒素を持っている種類もあり、人々の健康に直接影響する問題です。しかし、常時シアノバクテリアを監視することはコスト面で難しく、大量発生してから後手の対策を取っているのが現状です。この問題の実態を把握する為には、広範囲に長期間、シアノバクテリアの濃度を計測する必要があります。そこで、一つのアプローチとして、安価な無人船にシアノバクテリア計測器を取り付け、自動制御により広範囲に計測を行う研究プロジェクトがスタートしました。このプロジェクトの中で、SurfaceWalkerにGPSを取り付け無人で指定したポイントを航行する自動制御機能を実装しました。現時点で、GPSの位置情報と水温とシアノバクテリア濃度などのデータセットが自動でデータベースサーバーに蓄積され始めています。次のステップとして、集められたこのデータから、シアノバクテリア濃度をオープンストリートマップ上に可視化する機能「OpenCyanoMap」を開発しています。
この「OpenCyanoMap」には誰でもデータをアップロードできるようになっています。現在、このプロジェクトに共感していただいた、国をまたぐ複数の大学の研究室が各々の研究対象となる湖のデータをアップロードしてくれることになっています。この輪がより大きなものとなり、シアノバクテリア濃度の世界地図が完成することを目指しています。
リモートシュノーケリングの開発をする中で、サンゴの養殖をしている人に出会いました。その人は「自分が子供のころ遊んだ海に、サンゴも、そこに集まる魚も、いっぱいいたけど今はいなくなってしまった。なんとか自分の子供たちにあの頃の海を見せてあげたい。」とサンゴの養殖をしている想いを教えてくれました。その想いに触れて、SurfaceWalkerを使ってサンゴの”今”を記録することができないかと考えました。”今”を記録し続ければ、サンゴが減っていくことの対策が見つかるかもしれないし、これから先の子供たちに”今”を伝えることができると思うからです。これを実現する為には、「OpenCyanoMap」の機能に加えて、波による揺れがある中でサンゴを垂直に撮影する機能が必要になります。幸いにもパノラマカメラと姿勢センサのおかげで画像処理で垂直の画像を切り出すことが可能です。また、撮影された画像をつなぎ合わせる機能や海での安定性向上なども必要となります。そして何より最も重要なことは、世界中に協力していただける人を見つけることです。ご支援を頂いた方々にはSurfaceWalkerをリターンさせていただきます。一緒に、世界中のサンゴの”今”の記録を作ることができれば幸いです。
蓄積した画像は時間軸を変えながらサンゴの変化を見ることができるタイムラプス機能を開発します。 下の動画は定期的に撮影したサンゴをタイムラプス表示したイメージ動画です。
あなたのSurfaceWalkerで撮影した画像をOpenCoralMapに投稿するとクレジットタイトルにあなたの名前が表示されます。クレジットタイトルはMapを拡大していき、ある程度のサイズまで拡大すると表示されます。
寸法(H x W xD) | 1500 x 650 x 100 mm | |
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重さ | 5kg | |
ソーラーパネル | 18V / 100W | |
ソーラーチャージャ | 20A / 12V | |
バッテリ | キットには含まれません(推奨:リチウムイオン 12.6V@3セル) | |
スクリューモータ | 停動トルク | 1.7 kgf・cm |
トルク - ピークEff | 240 gf・cm | |
停動電流 | 9A @ 12V | |
ラダーサーボ | 停動トルク | 9.4 kgf・cm |
停動電流 | 1.4A @ 5V | |
プロポ Tx/Rx | 周波数 | 2.4GHz |
チャンネル数 | 3 | |
GPS | タイプ | GYSFDMAXB |
周波数 | 1575.42 MHz | |
チャンネル数 |
66 (Acquisition)
22 (Tracking) |
|
制御コンポーネント | Arduino | Arduino UNO |
Raspberry Pi | Raspberry Pi Model B 3+ | |
モーションセンサ | MPU9250 | |
磁気センサ | LIS3MDL | |
3G/4Gモデム | キットには含まれません | |
速度 | 5ノット |
寸法(H x W xD) | 85 x 56 x 50 mm (Raspberry Pi Model B 使用タイプ) | |
---|---|---|
重さ | 100g | |
レンズ | 視野角度 | 水平: 360°, 垂直: 235° |
イメージサークル | 直径 3mm | |
カメラ | タイプ | WDRタイプ(ワイドダイナミックレンジ) |
イメージセンサモデル | Aptina AR0331 (1/3.0inch) | |
解像度@フレームレート |
2048x1536 @ 15fps
1920x1080 @ 30fps |
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イメージフォーマット | 静止画 | JPEG |
動画 | MJEPG | |
対応モーションセンサ | MPU9250 | |
ソフトウェア | 解像度 | 最大4K |
ストリーミング | MJPEG, H264, H265 via WebSocket, WebRTC |
ご支援頂きました資金は下記の費用に充てさせていただきます。
主な懸念点は、カメラやモーターなどの構成コンポーネントの在庫ですが、KickStarterでのリワード分の入手先は確保しています。しかし万が一、サプライヤ側で急な製造終了などにより入手に問題が発生した場合は、代替品を探し性能を検証するために、出荷の遅延が発生する可能性があります。予期せぬことが起こった場合、私たちは、サポーターに対しオープンで明確な情報提供を維持します。